復活したひのきしん隊1カ月隊/灼熱の8月に刻まれた『熱き入隊ルポ』
「5 年半ぶりに1カ月隊が復活する!」
青年会本部 5 月例会での打ち出しは相当なインパクトがあった。「〇〇君に声かけてみようかな」「〇〇さん入隊するらしいで!」。約 2 カ月間そんな声が飛び交っていた――。
あの1カ月隊を終えて早 2 カ月。未だに色あせることのない、不安と期待が入り混じった入隊日、そして感激の涙でアツく抱き合った最終日。入隊に際して改めて感じたひのきしん隊の魅力に迫る。

緊張の入隊日から深まる関係性へ
8 月 5 日 8 時半、入隊者が続々と第百母屋に集う。大きな荷物を抱えて部屋に入る瞬間は、1カ月隊に 15 回以上入隊経験のある筆者もさすがに緊張した。
「おはようございます。よろしくお願いします。」
最大限の作り笑顔と、6 割程度の声であいさつをしながら入室すると、筆者以上に緊張している面々が軽く頭を下げてくれた。「この感覚懐かしい!!」と感じながら、筆者にとって5 年 7 カ月ぶりとなる1カ月隊が始まった。
隊期中のスケジュールは事前に共有されていたが、細々したことは決まっていない。むしろ我々がこの1カ月で主体的に作り上げていくことが大切だと思った筆者は「とりあえず自己紹介しましょうか」と提案して円になった。自己紹介を終えると、自然と「班長だれがしますか?」「夜食どうする?」「今日はうちが夜食用意しますよ」と会話が飛び交った。「初日って感じだなあ」と思いつつ、班内に少しづつ笑顔が広がっていった。隊員 16 名、有志で集まった世話班 3 名、合わせて 19 名のアツイ夏がスタートした。
8 月 6 日、実働初日。「こどもおぢばがえり」のテント撤収のひのきしんを行った。現場に到着すると、38℃の暑さとテントの多さに、いきなり不安を感じた。いざひのきしんが始まると思ったよりスムーズに撤収が進んでいく。隊員同士が大声で指示を出し合ったり、声掛けをしている。第百母屋での生活はまだ 2 日目だが、大部屋で一緒に過ごす中で、名前を覚えたり、性格を把握したりと知らぬ間に密な関係になり、ひのきしんをつとめやすくなっていた。


第百母屋での生活
午前のひのきしんを終えて第百母屋での昼休み。筆者が所用で出かけようとすると玄関前で草むしりをしている隊員がいた。彼は最終日まで空き時間を見つけては草抜きをしていた。思い返すと、昼休みや午前の出動前などの寸暇を見つけて、講堂で十二下りのてをどりを勤める隊員、天理駅ににをいがけに出向く隊員、神殿の回廊拭きをする隊員、そんな姿を多く目にした。
ただひのきしん隊に入隊するだけではなく、おぢばで過ごす貴重な時間を大切にしている姿に触れることができた。
筆者自身、同じ分会から共に入隊した会員と毎日夕方に参拝に行けたことがありがたかった。共におつとめを勤めて三殿を廻る、いろいろな話をしながら過ごす中でより親しい関係性になれたのもひのきしん隊のおかげだ。
午後のひのきしんを終えて、第百母屋に到着するのは 16 時前。そこから入浴を済ませ夕食に行ったり、詰所で用事をしたり、休憩をしたりと思い思いに過ごす。2 日に 1 回修練の時間が設けられた。19 時 50 分に第百母屋講堂に集まり、「青年会史」「教えに基づく対話」「班内感話」などが行われた。また、毎日 20 時 45 分から夕礼が行われ、「おふでさき」拝読、続いて日直が一言話をつとめる。修練の話、日直の一言話がとても楽しみで興味深く聞かせてもらえた。
夕礼後は消灯まで、当番の分会が用意してくれた料理を囲みながらお酒を飲み交わした。修練の話や一言話、ひのきしん中に話したことなど、この「夜食」の時間に更に深める貴重な時間だった。
2 週目以降になると「夜食」の時間に語り合ったり、悩みを相談したりしてアツイ時間を過ごす中で、涙を流したり安堵の表情を見せたりと、身体は疲れているはずなのに、翌日への栄気を養う大切な時間だった。

にをいがけで感じた誠の心
8 月 16 日午前、郡山大教会を拠点ににをいがけ実働が行われた。前夜、勇みきった我々は「初参拝」を心定めしていた。大教会前で全員で神名流しを行い、その後ペアに分かれてにをいがけに歩いた。筆者は「必ず初参拝者をご守護いただく」と意気込んでいたが、歩けど歩けど断られ、37℃の猛暑も重なり心が折れかけていた。そのとき、1カ月隊のグループLINE が動く。ある隊員が初参拝者をお連れした一報だ。「マジか!」と驚いていると、「おさづけを取り次がせていただきました」との連絡が複数の隊員から送られてきた。そのときの自分自身の心がとても不思議だった。
以前の筆者はそのような連絡が来ると「悔しい!」と心を曇らせることが多かった。しかし今回は純粋に「うれしい!!」「みんな頑張っているんだな」と感じていた。決して自分自身の熱量がなくなったのではなく、1カ月隊の仲間が一生懸命に歩いてありがたい姿を見せいただけたことが本当にうれしかった。そんな気持ちになれたことがたまらなくありがたかった。
午後からは、天理市内をゴミ拾いひのきしんに歩いた。普段のひのきしんとは違うが、「HINOKISHIN ポロシャツ」を身にまとい、みんなでひのきしんをさせてもらうことが何とも誇らしく感じた。


通常入隊の素晴らしさ
8 月は1カ月隊と同時に通常入隊も行われていた。ある分会は独自で1カ月間入隊して毎日多くの隊員と共に伏せ込んでいた。毎夕、回廊拭きひのきしんを行ったり、修練の時間を設けたり、隣から聞こえる明るい声に元気をもらっていた。また、別の分会は「学生生徒修養会 高校の部」に参加する男子高校生約 10 人を、学修の数日前からひのきしん隊にお連れして共に汗を流していた。我々とも仲良くなった高校生が、学修期間中に声をかけてくれたのはとてもうれしかった。そして、分会委員長が一人で数日間入隊している分会もあった。
彼は「1カ月隊は大勢で入隊しているのにすみません」と申し訳なさそうに謝ってきた。しかし大人数の分会の中で、一人でも入隊して伏せ込む姿がとても大きく感じられた。筆者も経験があるが、一人入隊はどうしても淋しさを感じてしまう。それでも信念を持って伏せ込む姿は絶対に神様が受け取ってくださると確信している。
そのような姿に触れて、どの分会もカッコいい汗をかいているのが伝わってきた。信念を持っておぢばに伏せ込む汗、若者をお連れして寄り添いきる汗、分会委員長としての役割を一生懸命につとめる汗。
筆者はどこかで「おれたちは1カ月隊で入隊しているんだ」というこうまんな心が出ないか、また周りにそう思われないか不安だった。しかし、通常入隊の分会の姿がこうまんになりそうな私をたすけてくれたように思う。



隊期中はさまざまな現場でひのきしんをさせていただいた。
1カ月隊の魅力
隊期中盤、ある隊員が誕生日を迎えた。その日に向けてサプライズで誕生日祝いをしようと盛り上がり、準備を重ねて、当日は朝から最高のお祝いをすることができた。
また隊期終盤、ある隊員が体調を崩し班内休養する日があった。みんなが我が事として彼を心配して、おさづけを取り次いだり、お願いづとめを勤めていた。そして彼が元気になるとみんなが安心して喜んでいた。
なぜ、出会ってわずかの彼らのためにこんなに心をつかうことができたのか。なんでこんなうれしい気持ちになれたのか。彼らの素直さや優しさはもちろん、1カ月寝食を共にして深まった関係性もあるだろう。同時に「これがおぢばの素晴らしさだな」とも感じた。
「心を澄ます毎日を」意識する中で、どうしても自分で心を澄まそうと考えてしまう。しかし、1カ月隊を通して「神様に心を澄ましていただいている」と感じる場面が幾度となくあった。本当におぢばはありがたいと感じた。
そして無事に1カ月通り切れたのも自分たちの力ではない。送り出してくれた家族や教会の方々。一緒に通ってくれた仲間。温かく応援してくださった青年会本部の方々、世話班の3人、百母屋のみなさん。そして親神様のご守護を存分にいただき、教祖にお守りいただいて通りきることができた。
隊員一同、それを感じられたからこそ、最終日に涙を流し、解隊式を笑顔で迎えられました。
本当にありがとうございました!

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