学修・高校卒業生コース誠の心で向き合った三日間!『学修・高校卒業生コース』スタッフインタビュー

「おはようございます。受付はこちらですよ。どうぞ」

ここは、「学生生徒修養会・高校卒業生コース」の宿舎の入口。緊張しながら宿舎に入る学生を、満面の笑顔で迎えるスタッフと出会った。庶務の村井実さんだ。

受付を済ませた学生が、名札を手に指定された部屋へ移動する。

「おはようございます。こちらへどうぞ。よろしくね」

三日間を一緒に過ごすカウンセラーとの対面。やさしい笑顔に、学生も自然と表情が和らぐ。部屋の中を柔らかな雰囲気で包んでいたのは、カウンセラーの佐藤祥子さん。

フレグラでは、学修・高校卒業生コースでスタッフを務めた二人にインタビューを実施。学修の魅力や、スタッフを務める中で得た学びなどを聞いた。

一手一つに御用をつとめた村井さん(左)と佐藤さん(右)

―学修を通して得た「気づき」を教えてください。

(村井)今回、初めてスタッフとして学修に参加しました。34歳で初めてのスタッフだったので、学生たちを楽しませてあげられるのか、庶務の役割をきちんと果たせるのか心配でしたが、主任・副主任先生をはじめ、先輩スタッフの皆さんがやさしく丁寧に教えてくださったおかげで、生き生きと三日間を通ることができました。

期間中は、学生さんが楽しく陽気に過ごせるよう、カウンセラーの皆さんと何度も練り合いを重ねました。皆さん「人のために動く」というお道の精神にあふれた方々ばかりで、私にとっては日々の言動を省みる貴重な機会となりました。

庶務の先輩スタッフは、学生やスタッフに喜んでもらうために、さまざまな提案をして行動に移していました。親神様・教祖の思召に沿って歩む姿勢に深い感銘を受けました。また、進行係のスタッフは、学生の誘導やプログラムの進行をする中で、学生たちを盛り上げたり、みんなが楽しめるゲームを考えたりしていました。それぞれ役割は異なりますが、学生を楽しませたい、喜んでほしいという心は一緒でした。まさに「一手一つ」の実践だと感じました。

私は高校三年生のときに夏の学修に参加したことがあります。そのことは、今でもとても楽しかった思い出として心に残っています。今回、初めてスタッフをする中で、当時のスタッフの方々が、私たちを楽しませようと運営してくださっていたのだと思うと、今さらながら感謝の気持ちでいっぱいになりました。この学びをしっかりと心に治め、これからの本部行事や大教会行事にも積極的に取り組んでいきたいです。

物品一つひとつに思いを込めて整理する村井さん

(佐藤)今回の学修では、理づくりの大切さに気付くことができました。

過去に二回スタッフをさせていただきましたが、カウンセラーを務めるのは初めてでした。「カウンセラー」に対するイメージを一言で表すと「すさまじく多忙」。事前研修でカウンセラーと決まって以降、「学生に何を伝えられるのだろう」「期間中つとめきることができるだろうか」と、不安はどんどん募っていきました。主任先生からは「本期間まで、理づくりと思って日々のひのきしんを実践してほしい」「少しでも心に学修の火を灯し続けてほしい」と言っていただき、理づくりとして日々のひのきしんを心がけました。

三月八日、不安を抱えながらおぢばに帰ってきた私は、教祖殿へ行って、教祖に「期間中何事もなくお連れ通りいただけますように」とお願いし、最後の理づくりとしてトイレ掃除ひのきしんをしました。すると、不思議と心が落ち着いたのです。教祖が「大丈夫」と私の背中をやさしく押してくださったように感じました。迎えた本期間、どんな学生が来るのか心配していた気持ちとは裏腹に、とても心やさしくて素敵な学生たちに巡り合いました。教祖が理づくりを受け取ってくださったと思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

本期間までの間、私は自分の不安を消し去るために理づくりをしていて、親神様・教祖に申し訳ないと思っていました。しかし、そんな我が身思案な理づくりでも、親神様・教祖は大きな親心で御守護くださいました。自分の時間をお供えし、誠真実の心で親神様の思召に沿おうとすることで、親神様・教祖はお受け取りくださるのだと感じました。もっとお喜びくださる理づくりは、誰かのたすかりを願う理づくりだと思います。これからは、人のたすかりのために理づくりができる人になりたいと思います。

事務所で打ち合わせをする佐藤さん

―現在、青年会本部では、基本方針「心を澄ます毎日を。―ほこりを減らし、誠を増やす―」を掲げて活動しています。期間中、「ほこりを減らし、誠を増やす」ために意識したことを教えてください。

(村井)「学生に喜んでもらう」という目標に向かって一生懸命に動くこと、それがスタッフにできる誠真実の実践だと思います。特に意識したのは、「おはよう」「行ってらっしゃい」「おかえり」などのあいさつを元気よく笑顔で行うことです。

初日、宿舎の入り口で学生を出迎える役目をしました。学生の緊張を少しでも和らげようと元気に笑顔であいさつをすると、笑ってくれたり、元気にあいさつを返してくれたりと、たくさんのうれしい反応が返ってきました。気持ちの良いあいさつは、陽気ぐらしにつながる実践の一つだと再認識しました。また、スタッフの仲間にもたくさん助けてもらいました。学生やスタッフと一緒に過ごすうちに、私の心も澄んでいくのが分かりました。

庶務の仕事は目立たないことがほとんどです。しかし、学生のために一生懸命に取り組むことの尊さを学ぶことができました。学生に喜んでもらおうと陰の働きに努めれば、学生の心も澄んでくるのではないかと思います。

学生にもスタッフにも元気と笑顔を届けた村井さん

(佐藤)まず、「ほこり」については「不足をしない」ことを意識していました。日々ありがたいなと思っていても、「曇りで気分が上がらないな」とか「朝が早くて眠たいし、もう少し寝たいな」など不足に思うこともしばしばありました。不足が溜まると、どれだけ学生の無事や学修の成功を願っても、親神様・教祖はお受け取りくださらないだろうと思い、なるべく良い方に考えようと意識しました。

誠の行いについては、大きなことはできていませんが、「常に感謝の心をもつこと」「笑顔でいること」の二つを意識して過ごしました。「感謝の心をもつこと」については、そもそも日々無事にお連れ通りいただけていることが親神様・教祖の御守護があってこそ。それに、学修もすべてのスタッフがいて成り立つものですから、「ありがとうございます」と積極的に声に出すようにしていました。常に感謝の心を意識していると、小さなことでもありがたいと感じられるようになり、自然と気持ちが明るくなっていきました。「笑顔」については、教祖から「一に愛想」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』112「一に愛想」)とお聞かせいただいていますし、笑顔でいると気持ちも前向きになれるので意識するようにしていました。

意識した三つは普段から実践できることなので、これからも心がけて、いつか自然と誠真実の心を使えるようになりたいと思います。

―スタッフや学生、各プログラムから学んだことを教えてください。

(村井)学生から学んだのは「素直に楽しむこと」の大切さです。年齢を重ねて心と頭が硬くなったのか、日常生活の中で物事を柔軟に受け入れられずに不足することが少なくありませんでした。自分の価値観でしか考えられず、人から何か言われると不服な顔をすることもありました。この期間を通る中で、すぐ他人のせいにして周囲にほこりを積ませていた自分に気付き、自らの心の濁りについて考えることができました。これからは、何事にもありがたいと思って楽しんで取り組める素直な心を身につけたいと思います。

スタッフから学んだことは、人のために自ら行動する姿勢と心配りです。カウンセラーが事務所に戻ってきたときに過ごしやすいよう環境を整えたり、声をかけたりと、状況を見て臨機応変に対応する姿をたくさん見ました。私は自分のことに精いっぱいで余裕がありませんでしたが、皆さんの動きを見て多くのことを学ばせていただきました。

各プログラムでは、人生を振り返るグループワークやお世話になった人を書き出し見つめ直すワークがありました。これまでそのような機会がなかったので、とても有意義な時間になりました。分会活動やにをいがけ・おたすけに生かしたいと思います。

(佐藤)私が学んだのは、言葉の大切さです。カウンセラーは、学生と深く関わるので必然的に言葉を交わす機会も多くなります。各プログラムの最後にはカウンセラーから学生に言葉をかけます。おぢばへの思いや自分自身の気持ちを伝えるため、また学生の背中を押してあげるためにはどんな言葉が良いのだろうかと、毎回とても考えました。改めて言葉がけの難しさを痛感しました。

昨年、修養科に行かせていただいたとき、クラスメートに「声は肥」という言葉を教えてもらいました。やさしい言葉がけ一つで人を喜ばせ、勇ませたりすることができると聞いたとき、その教えがスッと心に治まったことを覚えています。それを思い出し、カウンセラーとして無理にお道のことを伝えようとするのではなく、心からのやさしい言葉がけを意識しました。やさしい言葉をかけ、おぢばは温かい場所だと感じてもらえれば、学生自ら何かに気づいたり考えたりできるだろうと思いました。実際にカウンセラーが思いを伝えきれなくても、学生たちは自ら考える姿を見せてくれました。「声は肥」だと改めて感じました。

私は今、大教会で女子青年として勤めさせていただいています。大教会には大勢の方が参拝に来られます。大教会長様は、参拝に来てくださる方には「十二分の感謝の心と『大教会に来てよかった』と温かい気持ちになるようにお迎えしてください」と教えてくださいます。参拝に来られた方々が喜んで帰路につけるよう、やさしい言葉と心温かくなる言葉を意識したいと思います。また、教祖からは「言葉一つが肝心。吐く息引く息一つの加減で内々治まる」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』137「言葉一つ」)とお聞かせいただきます。少しの配慮と気遣いの言葉が心を満たし、人と人をつなげる大切な役目を果たします。植物に肥料をまくように、人の心の肥やしになるような心遣いを重ねていきたいと思います。

やさしい言葉がけを実践した佐藤さん

―庶務を務めた村井さんからカウンセラーの皆さんへメッセージをお願いします。

(村井)カウンセラーの皆さんが直前研修から心を込めて準備をし、親のように丹精込めて学生と接するからこそ、彼らは元気よく楽しく過ごせたのだと思います。学生に寄り添って話を聞き、プログラム内容に合わせて思いを伝え、慌ただしい中でも、笑顔で楽しんでいらっしゃるカウンセラーの皆さんの素晴らしさを感じました。事務所や宿舎で庶務の仕事をしているときに「いつもありがとうございます」と伝えてくださいました。今振り返ると、カウンセラーの頑張りがあるからこそ、庶務もスムーズに動けたのだと思います。本当にありがとうございました。

―カウンセラーを務めた佐藤さんから進行係・庶務の皆さんへメッセージをお願いします。

(佐藤)進行係と庶務の方々には感謝の気持ちでいっぱいの学修となりました。今回、初めてのカウンセラーでしたが、進行係と庶務の皆さんが細やかな心配りをしてくださったおかげで役割を全うすることができました。学修は、進行係の誘導と庶務の受付から始まり、進行係の送り出しと庶務の撤収で終わります。学生が無事に学修を過ごせたのも皆さんの存在なくしては成り立たないと感じました。以前、庶務を経験したからこそ「あれもやってくださっている」「これもやってくださっている」とより深く感謝することができたと思います。これも、感謝の気持ちで御用をつとめられるよう教祖が導いてくださったのだと思います。

裏方の仕事は見えないので、働きにも気付かれにくいところがあります。しかし、私には皆さんの見返りを求めず喜んでもらおうとする姿がとても輝いて見えました。これこそが真実の心だと感じました。私も見返りを求めないおたすけをしたいと思います。心を感謝で満たしてくれた進行係と庶務係の皆さん、本当にありがとうございました!

取材を申し込んだとき、村井さんも佐藤さんも「私でよければ・・・」と謙虚に受けてくださった。明るさと落ち着きをあわせ持つ二人の活躍を、後ろからそっと見守る三日間だった。

学生が賑やかに過ごすグループワークの時間。宿舎に響く笑い声を聞きながら次のプログラムの準備をする村井さん。一つひとつの物品に思いを込めて作業を進める姿が印象的だった。

学生が自由に過ごす休憩の時間。事務所にてペアカウンセラーと相談を重ねる佐藤さん。一つひとつのプログラムに思いを込めて打ち合わせを進める姿に熱いものが込み上げてきた。

学修は学生にとってもスタッフにとっても、気づき、学び、育ててもらえる大切な場所だと確信した。私にとっては「身近にいる次代を担うようぼく」のことを思い返す貴重な取材となった。

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