【伊勢谷スポーツ俱楽部独占ルポ】立川理道選手トークショー!

“見て・聴いて・体験して”五感で気ままにラグビーを満喫――。

天理ラグビークラブ(TRC)は9月18日、親里ラグビー場にてイベントを開催した。

その名も「Chill Rug~ラグビーのある休日~」。天理高校ラグビー部の試合やトークショー、ラグビークリニックなど、魅力満載のプログラムが行われた。
「天理ラグビーがより多くの人々に愛されるように、ラグビーが身近に感じてもらえるように、強いてはラグビー全体が愛されるように」。そんな思いが詰まったイベントだ。

トークショーには、リーグワンプレーオフで優勝したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下・スピアーズ)主将で、2022-23リーグワンMVP に輝いた立川理道選手が登場!

さらに立川選手の相棒で、4月に現役を引退した井上大介さんもサプライズ出演。

ここではトークショーの司会をつとめた筆者が、ワールドカップの秘話、天理ラグビーの魅力、またInstagramで事前公募した質問など、内容盛りだくさんとなったトークショーの様子をお届けする!

大舞台で生きた日々の積み重ね

―リーグワン2022-23シーズン、プレーオフ優勝、またMVPおめでとうございます!立川選手ご自身でシーズンを振り返って、スピアーズが優勝できた最大の要因は何だと思いますか?

立川
各ポジションに複数人の選手がいることで競争が生まれ、お互いを高め合うことができたことが大きかったと思います。また、スピアーズの58人の選手全員がワンチームとなって戦えたことも大きな要因でした。

―プレーオフ決勝のワールドナイツ戦で優勝が決まった瞬間、立川選手が過度に喜ぶことなく、レフリーに駆け寄った場面が印象的でした。

立川
対戦相手の前で感情を出し過ぎるのは良くないと思いましたし、ラグビーはそういうものだと感じていました。そう思うのは、ラグビーをしていた兄の影響が大きいと思います。ただ、いま思うともう少し喜んだら良かったと思います(笑)。
みなさんは感情を抑えないで、しっかりと喜んでくださいね!

―2015年ラグビーワールドカップの南アフリカ戦、83分に逆転トライで勝利しました。あの場面の話を聞かせてください。

立川
ペナルティーをもらったとき、私はPK(ペナルティーキック)を選ぶかと思ったんですが、リーチさんと五郎丸さんがスクラムと言ったので、そこで覚悟が決まりましたね。
私は前半から緊張することなくとてもいい状態で戦えていたので、最後の局面もそこまで緊張感はなかったです。

―あの場面で緊張感なくできたのはなぜですか?

立川
日々の練習で試合をイメージしてやっていたので、それが生きたのだと思います。

―日々の積み重ねが大事なんですね。
それでは、Instagramで募集した、立川選手への質問タイムに移ります。最初の質問です、
「立川選手はどうしてラグビー部に入ろうと思ったのですか?」

立川
やまのべラグビースクール(以下:やまのべRS)でラグビーを始めたのですが、兄もいましたし、友達も多くいたことが理由でした。そのときの仲間とは中学・高校・大学まで一緒にラグビーを楽しめました。とてもいい思い出ですね。

―楽しかったのがベースにあったのですね。2問目ですが、「何年ラグビーをしてもパスが上手くなりません。どうしたらいいですか?」

立川
それは次のスペシャルゲストに聞いてもらえば大丈夫です(笑)。パスのスペシャリストなので。

―それは楽しみですね!最後の質問です。「SO(スタンドオフ・以下:10番)をしていた経験はCTB(センター・以下:12番)をするうえでどのように生きましたか?」

立川
やはり10番の選手の気持ちが分かるということが大きいですね。10番の選手は12番の私にどのように動いて欲しいか分かりますし、私が10番で出場するときは、12番の選手が10番の私にどのように動いて欲しいか分かる。これがとても大きいです。

ワンチームのベースにある「チームの助けになりたい」

―ではここでスペシャルゲストをお呼びします。今年、引退されるまでスピアーズの一員として立川選手と共に活躍された井上大介さんです!!

―井上さん、長い現役生活お疲れさまでした。これまでを振り返ってどんなラグビー人生でしたか?

井上
引退してあらためて周りに恵まれたラグビー人生だったと思うことができました。体は大きくないし、足も速くない、体力も特別あるわけではない、そんな私が長く続けることができたのは、私自身の負けん気の強さもありますが、一番は一緒にラグビーを楽しめる友達が周りにいたからだと心から思っています。

―本題に入る前に、井上さんにお聞きします。どうやったらパスがうまくなりますか?

井上
難しい質問ですね(笑)。大切なのは、受ける相手のことを考えてパスをすることだと思います。例えば、相手が走っている場面だと少しでも後ろに逸れると取りづらいので、しっかりと前に投げてあげる。練習中に常にシチュエーションや相手の気持ちを考えてパスを出すのが大切です。ボールの回転を気にするよりも、相手の取りやすい所に投げることが大切だと思います。

―素晴らしい回答ですね!立川さん、補足はありますか?

立川
ないです。

井上
補足しろよ(笑)!

―以前インタビューさせてもらったとき、お二人の仲の良さが印象的でした。幼少時代、お互いの印象はどうでしたか?

井上
「超ラグビー好きのラグビーバカで、めっちゃ飯を食うでかい奴だなぁ」って感じでしたね。昔から一人で困難な状況を打開できる選手でした。

立川
大介は一番小さくて細かったんですけど、目の前のボールへの執着は本当にすごかったです。負けず嫌いで、よく泣いていましたね(笑)。

―井上さんはスピアーズの優勝をどのような気持ちで見ていましたか?

井上
当時はまだ現役だったので、グラウンドにいる23人やハル(立川選手)がトロフィーを掲げたシーンなどは羨ましい気持ちも正直ありました。ですが、スピアーズはワンチームで戦ったと思っているので、自分のことのように嬉しかったです。グラウンドの23人と同様に、もしかしたらそれ以上に喜んだメンバー外の選手もたくさんいました。

―これはとてもすごいことですね。なぜそのような空気感になれたのですか?

井上
Aチームと練習するときは「Aチームが試合に勝つために貢献したい」という思いで頑張れたのが大きかったと思います。Aチームが優勝という結果を残してくれて、自分もチームの一員なんだと感じることができました。ハルがキャプテンとして頑張っていて、身体が痛い中でも試合に出ていたので、助けになりたいなと思っていました。ハルが助けになったと思ってくれていたら幸いです(笑)。

―もちろん助けになっていましたよね?

立川
まあ、あんまり……ですかね(笑)。

井上
なんでやねん(笑)!!

「楽しむこと」と「仲間の存在」の大切さ

―以前、やまのべRS時代にラグビーの楽しさを教えてもらったのが良かったとおっしゃっていましたね。

井上
タックルや戦術の練習は一回もしたことがなくて、トライの練習やボールを取り合う練習などをしてラグビーの楽しさを覚えました。

トライの練習は、全員が縦一列に並んで15メートル先まで走り、先生が出すボールを取って、そのまま白線まで走ってトライをするというとても単純なものでしたが、すごく楽しかったです。

いまでも記憶に残っている先生の言葉が、「トライした選手がえらいんじゃない」です。小さい頃はトライすると偉そうにしがちですけど、先生は「相手からボールを取ってきた選手がすごいんだぞ」といつも伝えてくれました。だから私たちのチームはトライにこだわる選手がいなかったんです。これはトップリーグでも生きた大切な考え方でした。

井上大介さんはスピアーズで11年間プレー、日本代表にも選出されている


―今日は天理ラグビーの子ども達や、若者も多数来場しています。あらためて天理ラグビーの魅力を教えてください。

立川
体格は関係なく、自分たちの技術や戦略で勝っていくところに天理ラグビーのおもしろさがあるように思います。

井上
圧倒的な基礎練習ですね。どこが対戦相手でも基礎の差がでると思います。小学校・中学は派手な練習をしたくなりますが、基礎を何度も反復して、時にはおもしろくないこともありましたが、高校で明らかな差となって身についていました。

―ラグビー選手として成長するために必要なことは何だと思いますか?

立川
ラグビーが好き、仲間と協力することが好き、上手くなることが楽しいなど、好きという気持ち、楽しむという感情が大事だと思います。

井上
まったく同意です。補足はありません。彼の言ったことがすべてです。

―(一同)笑い

トークショー後、ラグビークリニックでラグビーの楽しさを伝えてくださった

―最後に天理ラグビーの子どもたち、若者たちに一言お願いします。

立川
まだ現役なのでみなさんの目標となるような選手でいられるように、これからも頑張りたいと思います。またこういう機会をもらえたら、みなさんと一緒にラグビークリニックなどを行いたいと思います。スピアーズの応援もよろしくお願いします。

井上
ラグビーは痛くて苦しいことが多いです。一人だったら絶対無理だと思うので、友達を大事にしてほしいと思います。「こいつとだったらラグビー頑張れる」、そう思い合える仲間になったらどんなことでも頑張れると思うので、友達と一緒にラグビーを楽しんでください。未来の立川選手目指して、リーグワン目指して頑張ってください!

―ありがとうございました!

天理ラグビーの子ども達、天理高校ラグビー部のみなさんと

(文=伊勢谷和海 写真=深谷布雄)

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