明日につながる「春学」
あるとき、Twitter のタイムラインを見ていると楽しそうな写真が目に入った。『春の学生おぢばがえり実行委員会』のツイートだった。連日投稿される「カウントダウン」写真、Twitter と Instagram を活用した「おたのしみ行事ゲーム紹介」動画、SNS からは春学に行きたくなる雰囲気が溢れていた。
「陽気な実行委員会メンバーに会ってみたい!」
いてもたってもいられなくなった筆者は、式典当日の朝、最終ミーティング会場へ。そこにあったのは SNS で見た写真と同じ、実行委員たちのはじける笑顔だ。
春学の「実行委員長」と「『希望の花』歌唱者」にインタビューした。
実行委員長・大岩恵奈さんインタビュー
① 開催日までにどんなことを意識しましたか?
春学に向けて動き出したのは、昨年の五月頃でした。これまで、順調に事が進むこともあれば、うまくいかなかったこともたくさんありましたが、どんなときも忘れないようにしたことが二つあります。
一つは、「おぢばに帰ってきた道の学生に、春学を楽しんでもらい、笑顔になってもらうために全力で通る」ということです。何かを決めるときには、果たしてその決断がみんなの笑顔に繋がるのかを常に頭に置いていました。悩んだこともたくさんありましたが、みんなの笑顔を想像するだけで、もっと頑張ろうという気持ちになり、最後まで楽しんで通ることができました。
もう一つは、「自分自身が誰よりも身の回りのことに感謝し、低い心で通る」ということです。コロナ禍になり、春学が開催できることは決して当たり前ではないということや、何不自由なく日々の生活を送れることの有り難さに気がつきました。おぢばに帰ってきた会員さんも、そうしたことに気づいて、毎日をもっと陽気に通ってほしいと思い、まずは実行委員からその心を意識して通るようにしました。
この二つを心掛けて通った一年間でしたが、そう思えない時期や、忙しさから中途半端になってしまったこと、それが理由で実行委員のみんなにつらい思いをさせたこともありました。そんなときは、必ずと言っていいほど、親神様・教祖からお知らせを頂き、私の心が正しい方向へ向くよう、たくさんの気づきをくださいました。また、一番身近にいる実行委員の仲間の笑顔や声掛けに何度も励まされました。ここまで通れたのは、親神様・教祖、そして仲間のおかげです。感謝でいっぱいの一年間でした。
② 実行委員長あいさつ中や式典中にどんなことを感じましたか?
式典中に思ったことは、ただただ「ありがとう」という気持ちでした。
式典当日、朝づとめ参拝に行くと、その時間からたくさんの学生がいて、みんながおつとめをする姿に胸がいっぱいになりました。その後、式典リハーサルが終わり、ぞくぞくと中庭に入ってくる会員さんを見て、さらに心が熱くなりました。「いよいよこの日を迎えることができたんだ」と思うと同時に、ここまで一緒にたくさん考え、準備を進めてきた実行委員の仲間、学生担当委員会の先生方、おぢばに帰ってきてくれた道の学生の仲間、そしてお見守りくださった親神様・教祖への感謝の気持ちでいっぱいになりました。この感謝をどのように伝えたらいいのかと戸惑いましたが、ここまできたら笑顔で楽しみ、心からの気持ちを込めてあいさつしようと思いました。
演台に立って中庭に座る会員さんの姿を見たときは、喜びで涙が溢れそうになりました。その涙をグッとこらえ、一言一言に思いを込めてお話しました。「陽気ぐらしを目指す道の仲間がこんなにたくさんいるんだ。これからいろいろなことがあるだろうけれど、みんなで助け合って通れることを思うとうれしいな」という気持ちになりました。緊張もしましたが、とても貴重な経験になりました。
あいさつを通して、会員さんに仲間の良さや日々の感謝、将来の明るさを感じてもらえたらなと思っていましたが、今振り返ると、私自身が一番感じさせてもらったと思います。本当に、笑顔と感謝が溢れる、温かい式典となりました。
③ 春学を通してどんなことを学びましたか?
一番感じたのは、親神様の御守護のもとで生かされて日々の生活が送れていることに感謝し、周りの人と助け合って生きていくのが大切だということです。それこそが、親神様・教祖が教えてくださった「陽気ぐらし」だと思います。
準備期間も含めて、たくさんの方の御力添えがあって春学を開催することができました。準備が思うように進まず、実行委員の仲間に不足してしまったとき、先輩に相談すると「みんなが動いてくれるのは当たり前じゃない。ちゃんとみんなに感謝を伝えて、自分自身が陽気に通らないと、みんなもしんどい思いをする」と教えていただきました。このとき、「感謝することの大切さ」を改めて感じました。これからも「感謝すること」「たすけあうこと」を忘れずに、勇みの姿を周りに映していきたいと思います。
➃学生会員へメッセージをお願いします。
みなさんは、学校や部活動、バイトなど、明るい気持ちで生活していますか?思い描いていた学生生活が送れないという人、日常生活で苦しい思いをすることが多くて乗り越えるのが難しいという人もいるかもしれません。そんなときこそ、自分の心を見つめ直し、「当たり前だと思っていた日常に感謝すること」「身の周りの人とたすけあうこと」を意識してみてください。きっと、つらいと思っていたことが楽しくなり、陽気に過ごせるのではないかと思います。
私たちはまだまだ未熟で、壁にぶつかることもたくさんあります。でも、きっと、その出来事は私たちを成長させようと親神様が見せてくださっているものだと思います。自分を責めず、「感謝」「たすけあい」を心掛けて、陽気ぐらしを目指す道の仲間として、一緒に通らせていただきましょう!
歌唱者・丸山慶太さんインタビュー
① 歌唱者になった経緯や練習エピソードを教えてください。
きっかけは、去年出演した天理大学祭の『歌うまステージ』でした。その様子を見ていた実行委員の一人から声をかけてもらったのです。
式典前には、「歌唱指導」の時間があります。女性の歌唱者がゆっくり歌い、その後、僕が参加者と一緒に歌うというのが歌唱指導の形です。音程が合わない箇所があり、何度も練習しました。今まで歌うことは得意だと自負していましたが、自分はこんなにも下手なのかと落ち込むほどでした。
また、「歌唱指導の際に司会を務めてもらえませんか」と言われ、とても驚いたのを覚えています。「歌には自信があるものの、大勢の会員さんの前で司会なんてできるのか? しかも短い台本とはいえ暗記で・・・」と不安でしたが、「せっかくいただいた貴重な機会、受けないともったいない」と思い、歌唱指導の司会も務めることにしました。
② 歌唱前、歌唱中、歌唱後はどんな気持ちでしたか。
歌唱前は、歌と司会のセリフ確認で余裕がありませんでした。その半面、「僕の歌を聞いた人はどんな感想をもってくれるのか」と期待する気持ちや、「基壇に上がる御用を頂いた」というわくわく感もありました。また、天理高校吹奏楽部のみなさんの演奏を間近で聞けることも楽しみでした。
歌唱指導のときは、「あれ、みんなあまり聞いていないかも?」というのが正直な気持ちです。入場案内と同時進行で歌唱指導していたこともあってか、友人との再会を喜んだり会話したりする会員さんが多くいました。聞いてもらえると期待していたので、少し残念でしたが、「間違えてもあまり気にされないということだ!」と割り切って、のびのび歌えました。練習の甲斐あってか、間違えずに歌唱指導を終えることができました。司会も拙いながら、よくできたと思います。とても緊張しましたが、笑顔で楽しく歌えたことが何より良かったです。
歌唱後は、「無事にできた!」という安心感と達成感でいっぱいになりました。でも、式典後の直属アワーで「『希望の花』歌っていました!」と言うと、「そうだったんですか!?」と驚く会員さんがいましたので、あまり見られていなかったのかもしれません(笑)。
③ 苦労したことや春学を通して気づいたことを教えてください。
歌唱指導で苦労したことは自分自身の歌い方の改善です。僕の歌の良いところは、「力強い歌声」「高音」「表現力」だと思っています。癖をなくして真っ直ぐ素直に歌うことがとても難しかったです。どうしてもこぶしや癖が入ってしまうので何回も練習しました。
春学の後、多くの友人から「上手だった!」「いい声だった!」とうれしい言葉をもらいました。この御用をつとめることができ、本当に良かったです。
昔から「歌がうまい」と自負して生きてきました。しかし、周りには僕より上手な人がいて、自分は人よりも「ほんの少しうまいだけ」だと気づき、落ち込みました。歌に自信がもてなくなったら何が誇れるのかと思うときもありましたが、今でも少しずつうまくなっている実感はあります。僕より歌がうまい人なんてたくさんいます。でも、歌うことが好きだという一心でここまで歌ってきました。みなさんにも、たとえ小さくても、誇れるものがあるのではないでしょうか? 一番になることは不可能でも、他人より少し優れていることを見つけて続けることが大切だと春学を通して気づけました。
基壇に上がったからこその学びがたくさんあったようです。仲間との出会いや葛藤、一つのものを作り上げていく苦労や喜び、今まで気づかなかった自分自身のこと、親神様はその時々の出会いや出来事を通して、たくさんのプレゼントを届けてくださいました。
道の学生に限らず、私たちは、お道の行事を通して成長していきます。その一つひとつの積み重ねこそ、親神様・教祖がお望みくださる「成人」へと繋がるのだと思います。
今夏は八月十一日(金)から十五日(火)にかけて「学生生徒修養会 高校の部」が開催されます。道に繋がる高校生のみなさん、ぜひご参加ください。
詳細は下記URLよりご確認ください。
https://happist.net/event/koukou
(文=田中一慶)
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