「記録のつもりが、心に深く刻まれた記憶」―カメラマンが見た第1次HINOKISHINキャラバンの現場

第1次HINOKISHINキャラバンの参加者が決まり、事前研修が進む中、「記録係として写真と動画を撮ってほしい」と、私に声がかかった。
実はその少し前まで、分会委員長として「誰か、うちから参加してくれないか」と声をかけ続けていた。けれど結局、応募者はゼロ。
「誰も行かないのなら、自分が行くしかない」
——そう腹を決めかけていたところだったので、迷う理由はなかった。
自分の役割は、あくまで“記録すること”。そのつもりでシャッターを切り続けた。けれど、私はレンズの向こうにある隊員の誠に、何度も心を動かされた。異国の地でファインダー越しに見た数々は〝記録〟や〝思い出〟という言葉では収まらない。
――そこには、想像を超えたリアルがあった。

\あなたの誠を世界へ/
旅の始まりと参加者たち

私は事前研修にも直前研修にも参加しなかったので、出発当日の空港で初めて隊員たちと顔を合わせた。
海外渡航が初めての隊員も少なくなく、ロビーには期待と不安が入り混じった空気が漂っていた。
軽く自己紹介とあいさつを交わし、記録係として一歩引いて様子をうかがっていたが、事前研修での理づくりや基本方針の実践、そして直前研修で士気を高めてきた隊員たちは、すぐに私を温かく迎え入れてくれた。
この数ヶ月間、彼らが誠実に積み重ねてきた時間と想いは、その一瞬でしっかりと伝わってきた。
HINOKISHINの現場で見たもの

このキャラバンでは、何よりも「不思議なたすかりをお見せいただきたい」との一心で、隊員たちは事前から理づくりに励んできた。隊期中も分刻みのスケジュールの中に、十二下りのお願いづとめを欠かかすことはなく、日によっては、早朝や深夜につとめることもあった。
「親神様にお働きいただきたい」
その真剣な想いで取り組む理づくりこそが、今回のテーマである「ひのきしんの喜び」と「おさづけの感動」を一層深く味わう鍵であることを、隊員のひたむきな姿から教えられた。
白いシャツが映えたバンコクの街角

初日は3班に分かれて、午前はひのきしん、午後はおたすけに取り組んだ。
バンコクのにぎやかな通りを、白いポロシャツ姿の青年たちが黙々とゴミを拾う。その姿に、現地の人々は物珍しそうに目をとめる。
タイ事情に詳しい仲野委員曰く、タイでは路上清掃員がいるため、ポイ捨ては常態化しており、ゴミを拾う人もいないのだという。
一心不乱にゴミを拾う隊員に、現地の方が笑顔で感謝の言葉を伝えているシーンも。
ひのきしんの精神が言葉の壁を超えて届いた瞬間だった。
おさづけの現場で心が動いた

まだこの時点では、初めての海外に浮き足立つ姿も見えたが、午後からのおたすけでその態度は一変する。
おたすけ先へ移動する車の中で、タイ語の原稿を入念に確認する隊員たち。
繁華な通りを外れて少し歩くと、ほどなくして「チュムチョン」と呼ばれる、川沿いにバラック小屋が立ち並ぶ集落があった。
一軒目に訪れたのは頭上に渡る橋を屋根にして、壁の代わりに四方に布を張っているようなお宅だった。
ほぼ寝たきりのお年寄りに、隊員がさっそくおさづけの取り次ぎを願い出ると、快く受け入れてくださった。
その後も一軒一軒、丁寧に回る隊員たち。
おぢばから遠く離れた場所でも親神様がお働きくださり、ご存命の教祖がそばにいてくださる。取り次ぎが終わる頃には隊員たちの目には涙が浮かんでいた。
その姿をファインダー越しに見ていた私は、「記録しよう」という意識から、気づけばただひたすらに「どうかたすかってほしい」との一心に変わっていた。
まさにおさづけの感動を目の当たりにして、隊員の誠が胸を熱く打った瞬間だった。
目の前でおさづけを受けて、安堵の表情を浮かべる人々を見るたびに、私はお道を信仰していることを心底幸せだと思えた。
子どもたちの笑顔が教えてくれたこと

隊期のなかば、私たちは学校慰問のため、バンコクからバスで8時間ほどのところにあるマハーサーラカーム県を訪れた。
道中に立ち寄ったピマーイ歴史公園では、アンコールワット様式の遺跡に触れた。いつ誰がなんのために建てたのかは定かでないとのことだが、人々に信仰が根付くタイの文化を肌で感じた。
学校慰問では、ゲームや隊員の徳分を生かした催しをした後、ひのきしんや鳴物を入れてのおつとめ練習を、子どもたちとともにつとめた。
この姿が子どもたちにどう映ったか実際には分からない。しかし、どの学校でも、帰路に着く私たちのバスを子どもたちが満面の笑顔でいつまでも見送ってくれた。
カメラを置いて、私が感じたこと

こうして気づきの連続に立ち会う中で、私自身の心にも、確かな変化が生まれていた。
学校慰問の際、希望者におさづけの取り次ぎを行う場面があった。私が撮影の準備に取りかかっていると、石倉隊長が寄ってきて、ふと声をかけてくれた。
「おさづけ、取り次ぎたいんじゃない?」
これまでなら記録係としての役割を考えて、辞退していたかもしれない。だが、このときは何の迷いもなく、カメラを置き、子どもの前に座っている自分がいた。
帰国後、急ピッチで動画の編集に取りかかった。編集中に涙が止まらなくなった。
これまで多くの映像に携わってきたが、こんな経験は初めてだった。
それは、帰国してしばらく経ってもなお、画面越しに伝わってくる隊員たちの誠の姿に心が反応したからに違いない。
この動画を通じて、誰か一人でもたすかりに繋がるなら——。
そう思うと、自然と背筋が伸びた。
もし、迷っているなら

HINOKISHINキャラバンは、現在第2次の参加者を募集している。申し込みの締切は今月21日。
私が同行した第1次隊の参加者たちは、何も特別な人だったわけではない。
それぞれに背中を押してくれる人がいて、不安を抱えながらも、勇気を出し参加した者たちだった。
もし、参加を迷っているのなら、ぜひ下記のリンクからダイジェスト動画を見ていただきたい。
きっと、隊員たちのまっすぐな誠の姿が、あなたの背中を押してくれるに違いない。
希望の灯は消えていない
動画の公開直後から、想像以上に多くの反響をいただいた。
「夫婦で拝見しましたが、涙が止まりませんでした」
「お道の未来は明るいと確信しました」
実際に現地を訪れたから琴線に触れるものがあるのかと思っていたが、そうではなかった。
あのとき流れた涙の理由がはっきり分かった気がした。
あの風景、あの笑顔、あの祈りの時間を、ぜひあなたの目で直接見てもらいたい。
一人でも多くの人が「希望」を持てるように願って――。

\あなたの誠を世界へ/
廣田真人 / HIROTA MAKOTO
カメラマン
Webコンテンツ部部長 / 西宮分会委員長
人に喜んでもらいたい。この思いが写真をはじめたきっかけであり、今も撮り続けている原動力。
思いは強いですが、こだわりはあまりありません。こだわりがないのがこだわりです。
みなさんのこだわりを形にすることができれば、それが私の幸せです。

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