FLAT入隊体験記「ひのきしん隊に一緒に入隊しない?」

「ひのきしん隊に一緒に入隊しない?」

分会のリーダー層からお誘いの声を掛けてもらった人は多いのではないだろうか。入隊者から話を聞いたり刊行誌の写真を見たりして、「ひのきしん隊」の様子を知っている人もいると思う。

ひのきしん隊は今年、結成70周年という節目の年を迎えた。天理教青年会では結成70周年記念の取り組みの一つとして、「FLAT入隊」を企画。教会長後継者コースと学生層コース合わせて全10回の日程も、残すところ23歳~31歳の教会長後継者コース〔11月9日(土)~10日(日)〕のみとなった。

筆者が所属する分会の例会でも「FLAT入隊」に関する会話がよく聞こえてくる。

「FLAT入隊っていうのがあって……」

「ふらっと!?それって、どういうこと?フラッと気軽に行けるってこと?」

こんな感じに会話が続く。

FLAT入隊は「分会や教区にとらわれず、年齢や立場が近い人と一緒に入隊する」という新しいスタイルをもつ。1泊2日の期間で同じ立場の人と寝食を共にしながら、ひのきしんや各種ワークを通して目標や悩みを共有し、交流を深められるプログラムとなっている。

今回は、筆者が体験したFLAT入隊(教会長後継者コース)について紹介する。

1日目 9:00

受付開始の時間に100母屋に到着。スタッフの方だろうか、満面の笑みで迎えてくれた。受付を終え、指定された部屋へ向かった。

この扉の向こうに、1泊2日を共に過ごす人がいる……ワクワクというよりもドキドキに近い気持ちだった。

「おはようございます」

既に入室していた班付のスタッフと参加者が優しい笑顔を返してくれた。

「よろしくお願いします」

簡単な自己紹介が始まった。出身地の話などをしていると、参加者が集まってきた。班員は7人。全員が教会長後継者だ。「親里の学校出身?」「おぢば帰りは久しぶり?」「ひのきしん隊は初めて?」など、会話は自然と弾んでいった。

9:30

開講式。スタッフも含めて約40人。年齢も近く、同じ立場。「自分と似たような考えや悩み、思いをもっている人が多くいるだろうな」と感じながら、宮内班長の話を聞いた。印象に残る言葉があった。「この2日間、心を裸にしよう」。まずは自分から心をさらけ出そう、そう思いつつ部屋へ戻った。

9:50

ワーク①の時間。まずは自己紹介。名前、年齢、分会名、出身地、趣味などについて話し、続いて「クロスインタビュー」を行った。用意された質問集の中から質問を選び、1対1で会話する。質問集には、「最近身の回りで起きた面白いことは?」「あなたが魅力を感じる人は?」「今欲しいスキルは?」など18項目が記されていた。私は「幸せだなあと感じるときは?」という質問を選び、尋ねていった。仕事と家事に追われている人は「休日の朝にネット動画を見るとき」と回答。結婚して間もない人は「帰宅して妻がいるとき」と答えていた。インタビュータイムが終わり、全員が感想を述べた。同じ年代でも答えはさまざまで、幸せの定義も異なることを知った。知らず知らずのうちに、前のめりになって参加する自分に気づいた。このワークを通して、「同じ立場・同じ年代の仲間と一緒にいる。話しやすいな」という安心感を抱いた。

11:15

昼食のため第一食堂へ。マイクロバスでの移動中も、各々で話をして盛り上がった。班ごとに着席して、喫食。「白ご飯に醤油をかけて食べたらおいしかった」という少年ひのきしん隊時代の話や「赤弁が待ちきれなくて大変だった」という高校時代の話など、共通の体験をもつ人がいて賑やかな時間となった。

12:00

ひのきしん時に着る隊服のサイズを確認した。初めて着用する人が大勢いた。サイズ確認後、部屋に戻って談笑していると放送がかかった。

「二階講堂にて『100母屋カフェ』を実施しています」

さっそく講堂へ向かうと、コーヒーを飲みながら話をしたり、ボードゲームに興じたりしている。多人数の机もあれば、少人数の机もあり、楽しく明るい雰囲気に包まれていた。班員がいる机へ行き、カードゲームを始めた。みな初めてのゲームにああでもない、こうでもないと言いながら、楽しく進めていった。思えば、子どものときの「こどもおぢばがえり」や「教会おとまり会」にも似た光景があった。大きな畳の部屋に、大勢の人の笑い声。懐かしさを感じる空間だった。

温かい雰囲気の100母屋カフェ

13:00

ひのきしん出動の時間となった。この日は、少年会本部での作業。「こどもおぢばがえりお誘いチラシ」と「お年玉教材に付けるお供え袋」を数え、束にしたり、発送の準備をしたりした。少年会行事の舞台裏を知ることができ、勉強にもなった。

分会行事の折には、行事の案内チラシが作られる。そのチラシを頂いて自教会につながる会員に届けているが、今回のひのきしんを通して、チラシを準備する側の苦労や喜びを知ることができた。

お誘いチラシを数える入隊者

16:10

第一食堂にて夕食。夕食後、神殿で参拝をした。教会長後継者として集った私たち。十年先、二十年先には教会長となり、一緒におつとめを勤めたり、御用をしたりする日が来るのだろうと思いながら参拝した。

その後、100母屋に戻り、入浴した。身も心も裸になることで、自ずと本音を出すことができた。どんなことを言っても、相づちを打ちながら話を聞いてもらえた。浴槽の湯のように、〝心地よく温かい心〟がそこにはあった。

18:30

ワーク②の時間。3人1組となり、対話を実施した。テーマは「今、悩んでいることは何ですか」だった。1人が話し、他の2人が質問をする。質問に答え、さらに次の質問を受ける。それを繰り返すことによって、話者は悩みの本質に近づき、気づきが生まれる。悩みに対して、新しい視点をもったり考えを深めたりすることができるワークだった。「口外しない」「教え諭さない」「言いたくないことは無理に話さなくてよい」などのルールが徹底され、安心して取り組むことができた。心の内をさらけ出して本音を語ることで、心が満たされていった。仲間との絆の深まりを感じることもできた。

「親子」や「夫婦」について話す人、「御用」と「仕事」について話す人、「やりたいこと」と「やらねばならないこと」について話す人、みな抱える悩みはさまざまだった。悩みながらも「教え」に沿って選択・決断を重ねる仲間の話を聞き、込み上げてくるものがあった。最後に、付箋に手紙を書き合った。手紙には優しい言葉、労いや励ましの言葉が並んでいて、自然と目頭が熱くなった。

20:15

懇親会を行った。自室で班の仲間と語り合った。仕事のことや家庭のこと、教会のことなど、同じような悩みを抱えている人もいた。「教会長に就任したら仕事はどうしようか」「信者さんとどのように歩もうか」「親との関係はこのままでいいのだろうか」「妻との子育て方針の相違点についてどう折り合いをつけているか」などが話題にあがった。同じ教えを信仰するお互いではあるが、生活環境も価値観もさまざまで、一人ひとりの話を聞きながら共感と驚きの連続だった。思う存分語り合い、夜は更けていった。

23:00

完全消灯。

2日目 4:25

起床を知らせるBGMが流れる。着替え・洗面を済ませ、朝づとめに向かった。

5:00

おぢばでの朝づとめ参拝。清々しい朝を迎えた。大人数でお歌を唱和しながら勤めるおつとめに心地よさを感じながら、学生時代や修養科時代を懐かしむ人がいた。

参拝後は朝食へ。班ごとに喫食し、100母屋に戻った。

8:45

ひのきしん出動の時間。朝礼で「ひとことはなし」を聞いた。分会委員長をつとめている人のお話。FLAT入隊対象者の親御さんから「息子が参加させてもらいます」と電話が掛かってきたときの喜びを聞かせてくれた。その中で、私の心に響く言葉があった。

「ここに来ている教会長後継者の方は、親や上級教会、兄弟教会、部内、信者さん、いろいろな方から思いをかけてもらって、また、その思いを背負って通ってきたと思います。そして、今、FLAT入隊に参加しています。さまざまな都合がある中で、教会長後継者という立場のお互いがこうしてここに集まれているということは、教祖から一人ひとりが大きな期待をかけていただいて、導いていただいている証拠だと思います」

「ひとことはなし」を聞きながら、身近な人のことを思い出した。教祖の思いも考えてみた。頑張ろうと心新たにする自分がいた。

ひのきしん現場は、大裏。田んぼに入り、苗の束を作った。田植えの様子は、『天理時報』で目にしたことがあったが、自ら田植えの準備をすることで、「ふせこみ」や「蔭での働き」について考える機会となった。他の班と一緒にひのきしんをしたため、交流の輪も広がった。

心を込めて励んだ大裏農作業

11:00

昼食のため、第一食堂へ。班ごとに喫食した後、100母屋に戻り、隊服を返却した。

12:15

ワーク③の時間。青年会本部委員の話を聞いた。日常にあるさまざまなエピソードから「天理教の教えがあってよかった」というテーマについて語ってくれた。たとえ話なども分かりやすく、自身の心を見つめ直すきっかけになった。

委員の話を聞いた後、3人1組で感想を言い合い、「教えがあってよかった」をテーマに意見交換をした。仲間の話を聞きながら、今まで感じていなかった教えの魅力に気づくことができた。これからの生活で、お道の魅力を再発見しようと心掛けることを誓い合った。

13:25

ワーク④の時間。今回のFLAT入隊の「ふりかえり」を行った。

まずは、2日間の入隊を通して感じたことについて対話を進めた。質問に答えることで考えが整理されていく。自身の心の変化を確認し、気づきを得ることができた。天理教青年会が続けて取り組んでいる「対話」にも慣れ、その効果を味わった。

次に、今回の学びを日常生活に生かすために、家庭や職場での場面を想起して、「これからの生活で意識していきたいこと」について話した。仲間の話を通して、自分にできそうなことを新たに見つけた。教会長後継者として、将来を前向きに捉えることができた。また、同じ立場の仲間がいることのありがたさを感じることもできた。

14:45

部屋の清掃を終え、閉講式の時間となった。「天理教青年会」と記されたハッピを畳みながら、FLAT入隊に参加して良かったと心の底から思った。

FLAT入隊に参加して、たくさんの気づきがあった。同じ立場だからこそ分かることもあった。「寄り添い」の大切さを実感する時間にもなった。これまでの人生、教会長後継者として悩み、葛藤することがたくさんあったが、悩みを話すことで、心の執着を放すことができたように思う。いろいろな答えを知る貴重な機会にもなった。おぢばで出会ったステキな仲間たちとの再会を楽しみに、教会活動を頑張っていこうと勇ませ合い、100母屋を後にした。

11月9日(土)~10日(日)のFLAT入隊が目前に迫った今、23歳~31歳の教会長後継者の皆さんに強く勧めたい。特に、この先のことを不安に思っている方へ。「きっと大丈夫。これから少しずつ踏み出してみよう」と背中を押してもらえる時間になる。

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