それぞれに思いが込められた3年ぶりのおせち 

 「お餅を50追加で、お願いします!」「分かりました!」 

ハツラツとした表情で餅焼場に餅を届ける生餅係。 

「うまく焼けました!」「ありがとうございます。このお餅、会場にお届けしますね」

ふっくらと焼けたお餅を箱に入れていく運搬係。

(パチパチパチパチ・・・)「おかえりなさい」「どうぞ、こちらへ!」

帰参者を拍手で出迎える接待係。

1月5日午前10時、おせち会場はひのきしん者の熱気に溢れ、あちこちから勇んだ声が聞こえてきた。

一方、帰参者に目をやると、お椀にお出汁が注がれるのをワクワクとした表情で見守るご夫婦。傍らには初めてのおせちなのか、辺りをきょろきょろする幼い子どもたちの姿が。3年ぶりのおせちのお雑煮に懐かしさを感じながら、喜びいっぱいにお餅を頬張る帰参者たちでおせち会場は溢れていた。 

フレグラ編集部では、おせちにお越しの皆様にインタビューを実施。「お餅の食べ方」をテーマに話を伺った。

【大調査!! お餅の食べ方】 

① どんな食べ方が好きですか? 

お正月のテレビや雑誌でも定番の質問。しょうゆ、きなこ、あんこに雑煮。みなさんはどんな食べ方が好きだろうか?

インターネットで調べてみると、サイトによってランキングは異なっていた。編集部では親里のおせちで尋ねてみようと、クリップボードを片手に会場を歩いた。気になる結果は・・・!?

第1位「きなこ」

第2位「しょうゆ」 

第3位「雑煮」

その他は「ぜんざい」「ずんだもち」「なっとう」などがランクインした。

② お下がりのお餅、どんな食べ方をしますか?

今年のおせちでは、雑煮をいただいた後に、親神様のお下がりのお餅が手渡された。 お下がりのお餅を、「おぢばがえりのお土産」として大事に抱えながら歩く帰参者に尋ねてみた。

「お下がりのお餅、どんな食べ方をしますか?」

「もう決めているよ!」と言う方もいれば、「うーん・・・」と考え込みながらシールを貼る方も。さて、結果はどうだったのか?

第1位「届けたい人がいる」

第2位「しょうゆ」

第3位「雑煮」

「おぢばがえりできなかった方に届けたい」と言う人が一番多かった。「教会の留守を預かってくれている家族に」「お餅を楽しみにしている信者さんへ」。中には、「5月にアメリカから帰ってくる娘のために、それまで冷凍しておきます」という方もおられた。その他は「おでんのきんちゃく」「あげもち」「お鍋に入れる」などだった。

【お道の良いにおいを届けたい】

取材中、陽気な雰囲気を醸し出す4人に出会った。東京都にある玉郷分教会の皆さん。「親神様のお下がりのお餅は、フードパントリーで出会った方にお届けしたい!」という大山忠行会長さんのお話に、お届けしたときの様子を知りたくなった編集部は、大山会長さんと連絡先を交換した。

―久しぶりのおせちの感想を教えてください。

コロナ禍前は、信者さんと、マイクロバスでおせち団参をしていました。3年前のおせちは葬儀と重なり、私だけ参加できなかったので、4年ぶりのお雑煮になります。入場前からお出汁の良い匂いがして思わずお腹が鳴りました(笑)。そして、待望のお雑煮とご対面! 少しおこげのあるお餅とシャキシャキの水菜。湯気が立ちのぼる熱々の透き通ったお出汁。「シンプル・イズ・ベスト」とはまさにこのこと。久しぶりのお雑煮の味は、本当に格別でした! おかわりはできませんでしたが、だからこそ一杯を噛みしめるようにいただきました。今から来年のおせちが楽しみです(笑)。また、お土産のお餅をいただけたことで嬉しさ倍増! あの人に届けたら喜ぶだろうな・・・いろいろなことが頭に浮かび、笑顔 になりました。 

―今回の帰参は、お子様が初めて「教会お留守番の御用」をする機会にもなったそうですね。 

今までは近所に住んでいる伯母夫婦が、私と妻が出かけるときに教会の留守番をしてくれていました。しかし昨年、その伯母が出直しました。そこで今回、初めて長男と次男に教会の留守番を任せることにしたのです。教会の留守番は、地味な御用かもしれませんがとても重要です。ちゃんとできていたかどうかは別として、子どもたちの成長を素直に嬉しく思います。

また、一緒におぢば帰りした方は7年ぶりに別席を運び、「今年こそはようぼくになります!」と、宣言してくれました。家族も信者さんも少しずつ前へ進めているように感じます。三年千日スタート直前のおぢば帰りで、勇み心をいただき、教祖(おやさま)の温かみを存分に感じさせていただきました。

―お下がりのお餅を渡されたときのお話を聞かせてください。  

教会では「フードパントリー」という食の支援活動と、「おたすけ隊」という地域のお困り事のお手伝い活動を行っています。お下がりのお餅をお渡ししたのは、それらの活動の利用者さんなんです。今年の元旦祭には、親子で初めて参拝に来てくださいました。お下がりのお餅をお渡ししたのは1月8日、その方が教会に来られたので、帰り際に「天理の神様にお供えされたお餅です。神様のお下がりですよ」と言って差し上げました。すると、「毎年、大勢の方がお餅をついてお供えされるそうですね! お餅、嬉しいな」と喜んでくださいました。 

以前、その方からこんなことを聞かれました。

「何でそんなに優しいんですか? 私、こんなに優しくされたことなくて。この優しさを素直に受け取っていいのでしょうか?」

と。そこで私は

「天理教では『人救けたら我が身救かる』という教えがあります。あなたが喜んでくれることが私の喜びなんです」

と話しました。すると、

「人の喜びが自分の喜びになるって素敵ですね。不思議と心にすっと入ってきました」

と言ってくださいました。お道の人の醸し出すにおいを感じてもらえたようで嬉しかったです。

 ひとことはなしハひのきしん にほひばかりをかけておく(七下り目一ッ)

四六時中においをかけることはできなくても、せめて、「フードパントリー」や「おたすけ隊」で接している少しの間だけでも、お道の良いにおいを感じてもらえるように心掛け、三年千日「底無しの親切」を指針に歩もうと思います。

【おわりに】

 今回取材したのは250名。一人ひとりにお話を伺う中で、それぞれ「特別な思い」を込めておせちに来られていることが分かった。親里でいただく「特別なお餅」で元気をつけたいま、教祖百四十年祭に向かって力強い歩みを進めていきたい。

(文=田中 一慶)

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