Youは何しにおぢばへ#4

母親のすすめで志願した修養科。そこには予想もしなかった“心の学び”と、“人生の転機”が待っていた。

不思議な縁で天理教を知ったのは、ムンフバートル ムンフツェンゲルさん(筑紫大教会 玄洋分教会)。

「YOUは何しにおぢばへ」第4回は、柔らかな笑顔の奥に秘めた、彼女のまっすぐな信仰信念に迫った。

母が開いてくれた、天理への扉

――天理教との出合いは、お母様がきっかけだったそうですね。

はい。あるとき母が、田中先生(ウランバートル布教所長)に誘われ、日本観光に出かけたんです。すると、観光プランの中に別席が組まれていて、母は別席の内容や街の雰囲気、皆さんの笑顔にすごく感銘を受けたようで……。「心に余裕がある人ばかりだった」と、うれしそうに話してくれたのを覚えています。

――そこから、ご自身は修養科に?

そうなんです。大学卒業後、就職まで少し時間があったので、「天理に行ってきたら?」という母の一言で。以前から日本に興味があり、大学でもちょっとだけ日本語を学んでいました。日本語をもっと学びたいくらいの気持ちで修養科を志願したんですよね。

――最初から信仰に興味があったわけではなかったんですね。

全然です(笑)。修養科で初めて教えに触れました。修養科の面接でも「日本語を勉強したいから」って正直に答えましたね。ただ、『天理教教典』(日本語)を何度も、100回以上ぼろぼろになるまで読み込むうちに、頭ではなくフィーリングで教えが心に治ってきて……。自然と心が動かされていきました。

当時はまだ正式にモンゴル語に翻訳された『天理教教典』がありませんでした。教えの素晴らしさを知って、「翻訳に携わりたい」という思いが芽生えたんです。

修養科では、たくさんの方の優しさや、おぢばのあたたかい雰囲気に触れ、3か月が終わるころには「もっと教えを知りたい」と思うようになりました。

おぢばに導かれ、先の心配がなくなった

――修養科の後は、大教会で伏せ込まれたと伺いました。

はい。修養科の最後の日、教祖殿で教祖に「私にもっと教えを教えてください。おてびきください」ってお願いしました。その晩、大教会長さんに呼ばれ、大教会の女子青年として勤めてくれないかとご提案いただいたんです。教祖にお願いした直後だったので、すぐにおてびきくださったと感じ、とてもうれしかったです。

それ以降は、何か悩みがあっても教祖に心からお願いすれば必ず導いてくださると実感したので、あまり先の心配をしなくなりました。

大教会での1年間の伏せ込みを終え、次の進路を悩んでいたとき、やっぱりもう少しおぢばに居たいという思いが強くなっていました。ちょうどそのころ、大教会長さんから「本部の海外部翻訳課で勤めてくれないか」とお声がけいただき、翻訳課に勤務させていただくことになったんです。

この3年間のおぢばでの伏せ込みが、私の信仰を深める大きなきっかけになったと思います。

悩みがあれば神殿に行き、回廊でひのきしんをしたり、教祖に相談したりしました。そのたびに必ず何かしらの答えや導きをいただけたので、「親神様・教祖はちゃんと私を見てくださっているんだ」と実感できたんです。

八つのほこりが教えてくれた、心の掃除の大切さ

――天理教の中で、特に心に残っている教えはありますか?

みなせかいのむねのうち かゞみのごとくにうつるなり(六下り目 三ッ)」という言葉が特に心に残っています。自分の行いはすべて鏡のように返ってくるから、日々の言動に気をつけようと強く意識するようになりました。

人の心の中は見えないものですよね?でも、親神様は見ぬき見通しですし、自分が人にしてしまったことも、返ってくる。そう思うと、普段の生活でも悪口を言いたいときや怒りたいときでも、「あ、これっていつか自分に返ってくる」と気づくんです。何か思い通りにいかないことがあっても、「あ、鏡、鏡」って自然に思えるようになったんですよね。

――他にも心に残っている教えはありますか?

八つのほこりは、心の掃除の仕方を教えてくださっていると感じます。例えば、身上になったときには、「どのほこりが積もったかな」と考えるんです。ほこりって絶対にあるものなので、それをどう掃除するのかを教えてくださったんだなと感じています。

海外部で勤務していたある日、目にできものができたんです。そのとき、当時の海外部の次長先生が「目の身上だから、人の良いところを見るようにしたらいいかもね」と教えてくださったんです。ちょうど、人の悪いところばかりが目についてしまっていた時期だったので、神様が目の身上を通して教えてくださったんだと、スッと心に治まりました。

――働きはじめてからはどうですか?

今朝も、起きたら目が腫れていたんです。そういえば、最近後輩に対して不足していたなーって反省しました(笑)。穏やかに生きなさい、って言われている気がしましたね。

「人たすけ」まで、大きなことができているわけではないですけど、人が嫌がることをしないとか、私を見て嫌な気持ちにならないようにすることは、すごく意識しています。

未来を見据えて

――今、夢や目標はありますか?

モンゴルの冬はマイナス40℃にもなるので、石炭暖房がよく使われます。しかし、それが元で起こる大気汚染によって呼吸器系の病気を患う人がとても多いんです。実は妹も病気になったことがあって……。妹は医師免許を持っていて、私は今医療機器の販売に携わっています。なので、将来はモンゴルで呼吸器系の病院を開設して、少しでも人の役に立ちたいと思っています。

そして、夢は自分の家族を持つこと。お母さんになって、子どもと一緒に、神殿の回廊を歩きたいなって、最近はそんな夢を描いています。

目に見えるものだけがすべてじゃない。

天理で学んだ教えと、信仰が彼女の中で生き続けている。モンゴルの地で、誰かの呼吸を守る場所をつくること。

そして、家庭という小さな世界を愛で満たすこと。そんな静かな夢を胸に、彼女は今日も笑顔で歩き続けている。

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