『その先にはたすかりがある』
ライター 小原理生人
ひのきしん隊に1週間、世話班として入隊していたときの話です。
入隊初日に世話班が集まって簡単に自己紹介をしていたとき、世話班の一人であるAさんがこう言いました。
「実は3日前に父親が原因不明の肺炎で倒れて、今ICUに入っています。ずっと意識不明でいつ亡くなってもおかしくない状況です。もしかしたら途中で帰ることになるかもしれません」
驚きました。そんな大変なときに入隊する方がいるとは……。
私はAさんに「もしものときはいつでも帰っていいと思います。っていうか、もう他の人と代わった方がいいですよ。お父さんの近くにいてあげてください」と声をかけると、Aさんは言います。
「いや、僕もそうしたいところですけど、父がもし意識があれば、ひのきしん隊に行けって言うと思ったんです。母からもおぢばで伏せ込んでお願いづとめをするよう言われました。だから僕はそれで父が喜ぶなら、たすかるならと思って入隊することにしたんです」と。
Aさんは、お父さんが出直すかもしれないときに、本当は側にいたいけど、いろいろな人間思案を断って、お父さんのたすかりを願いおぢばの御用を優先したというのです。
その姿にとても他人事ではいられない気持ちになり、入隊中は毎日お願いづとめをする心を定めしました。
「どうかAさんのお父さんがたすかりますように……」と、1週間真剣にお願いづとめ、ひのきしんに励ませていただきました。
Aさんも毎日帰隊後に神殿に通っておつとめをし、また理立てとしてお供えもしていました。
結局、私たちの入隊中にお父さんの病状が回復することはありませんでした。入隊を終えた後、私は心配しながらも、もしものことを考えてAさんに連絡できずにいました。
そんな中、その月の本部月次祭の祭典中に偶然トイレでAさんと出会いました。すると、私が声を発する前にAさんが「父は助かりました! 無事に退院できたんです。お願いづとめしてくれてありがとうございました。ひのきしん隊に入って本当によかったです」と話してくれました。
私は安心したとともに、神様がAさんの誠真実を受け取ってくださったんだなと思いました。
誠真実とは、人の良いよう、喜ぶよう、たすかるように心を働かしていくこと。Aさんにとってのそれはひのきしん隊の入隊でした。
Aさんの節を通して、現在の基本方針「心を澄ます毎日を。―ほこりを減らし、誠を増やす―」を実践したその先には、たすかりがあると感じました。
『信者の栞』には次のようにあります。
心さえ、すみやかそうじして、みがき上げ、あしき心を、さら/\持ちませぬようになりましたら、病みわずらいという事もなく、火難、水難、風難も、皆のがれさせて頂いて、結構に通らして頂けるのでございます。……
……すべての心得違いを改め、心のにごりを澄まして終い、あざやか、誠の心を、日々に働かしていくならば、おいおいと、誠の理が積り重なれば、天の理として、難儀、不自由は出来やせん。
日々ほこりを減らし、誠を増やす。そんな心を澄ます毎日を送ることで、親神様、教祖はその心をお受け取りくださり、大難は小難、小難は無難にお連れ通りいただけるものと悟らせていただきます。
これからも基本方針を意識し、このありがたい真実の道を喜んで通りたいと思います。
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