
唐揚げを前に鳴ったスマホ
その日、御用を終えて、ようやく夕食にたどり着いた。メニューは私の大好きな唐揚げ。「いただきます!」食べ始めた瞬間、スマホが鳴った。近所に住んでおられるAさんからの電話だった。
「ちょっと困り事ができたので、今すぐ家に来てもらえませんか?」
一通り話を聞いて、詳しい要件を確認した。「本当に”今すぐ”私が行かなければいけないことなのか?自分で解決できないのか?」と心の中でモヤモヤしながらも「今からそちらに向かいますね!」と言って、現場へ向かった。少々の不足心で、熱々の唐揚げを横目にしながら。
結果的には、かなり急を要することだったため、お役に立ててよかった。逆に行かなかったら事態は悪化していたようにも思う。
息子のまっすぐなやさしさ
翌日の朝食時。昨晩の残りの唐揚げが食卓に並んでいた。四人の子どもたちはみんな唐揚げが大好きなので、大皿にあった唐揚げはあっという間に無くなっていった。
すると6歳の長男が、「お父さんは何個食べた?」と聞いてきた。「お父さんは、一個しか食べてないよ」と返すと、即座にじゃあ、僕の唐揚げ一個あげるよ!」と言って分けてくれた。
自分の好きな物を素直に「分け与える」息子なりの「やさしさ」に心が温かくなった。一方で、昨晩の自分の心遣いと照らし合わせて反省した。
口と心と行いが一致した「誠」を目指して
普段から「人のよいよう、喜ぶよう、たすかるよう」に「誠」を尽くすことを意識していたものの、状況によっては、自分の都合や気持ちを優先し、相手のことを疎かにして、決して「誠」とは言えないことが多々ある。まだまだ口と心と行いが一致していないことに改めて気づく機会となった。
「あれから大丈夫でしたか?何かあればいつでもおっしゃってくださいね!」
いつどんな時であっても、思いやりの心を忘れずに、口と心と行いが一致した「誠」の人を目指していきたい。

息子は自分の好きなものを何の迷いもなく分け与えた。一方で自分は、口では「向かいますね」と言いながら、心は不足で一杯だった。口と心と行いが一致していなかった。
誠を意識して変えた行動
- 行動する時、心も一緒に動かす
頼まれ事を引き受ける時、行動だけでなく「この人のたすかりのために」という心も伴わせる。 - 息子の姿を心の鏡にする
「僕の唐揚げ一個あげるよ!」という息子の素直なやさしさを思い出し、自分にできる誠の行いを考えてみる。 - 不足が湧いたら「誠」の自己チェックをする
口と心と行いが一致しているかを確認する習慣をつくる。
今回の学び
「誠」とは口と心と行いを一致させること。行動だけでなく、心から喜んで人のために動ける自分を目指す。息子のまっすぐなやさしさが、その道しるべを示してくれた。
(田中亨典)
