特別食目『ISLE6(アイルシックス)』

「人は思い出を忘れることで生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある(新世紀エヴァンゲリオン/碇ゲンドウ)」

デブ部が終わり、はや2年が過ぎた。

デブ部と言っても、ご存知ない読者もおられるだろうが、カロリーなどという概念を捨て、胃袋を満たし続けた日々は私の青春だった。

引退して、日常生活を少しぽっちゃりのオジサンとして送ることで、あのキラキラした思い出たちを忘れかけていた。いや、自ら忘れようとしていたのかもしれない。

しかし、私にとって決して忘れてはならないことは、デブ部だった。

脂肪だけでなく、デブとしての誇りを失いかけていた。

それを思い出させてくれた出来事が先日あった。

去る9月15日に天理ラグビークラブ主催の「Papa Mama House presents Chill Rug ~ラグビーのある休日~」というイベントがあった。

私は、20年以上前にラグビーを少しかじっていたのだが、自分の核を作ってくださった天理ラグビーへの恩返しの気持ちでそのイベントスタッフをさせてもらっていた。

準備、受付、開会式と順調にイベントは進み、私も音響の係をしながら、ふとグラウンドを見渡していると、見覚えのある顔があった。

あれ?イガグリ坊や?

いや、伊勢谷さんやん!

フレグラの人気コンテンツ伊勢谷スポーツの筆者、伊勢谷さんが取材も兼ねて来られていたのだ。

「おー、サウナ部長!久しぶり!」

アツい。

ただのあいさつなのに、なぜか熱気を感じる。

紛れもない。伊勢谷だ。

アツさで懐かしさを感じさせる人間はそういない。

他愛のない会話をし、別れようとしたのだが、

「キッチンカーあるから一緒に行こや!」

お誘いがあった。

「いいっすね!行きましょう!」

軽い気持ちで二つ返事で返してしまった。

今やさまざまなイベントでよく目にするようになったキッチンカーだが、私が幼い頃は天理でキッチンカーなんてほとんど見なかった。

新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業種が打撃を受けたが、飲食業においてもその傷は大きかった。

お客様に店舗に来てもらうという既存の飲食店の形では経営が難しく、廃業するお店が多かったのは皆さんもご存知のことと思う。

私の住む京都でもコロナ前とコロナ後では、街の飲食店の顔ぶれがかなり変わったように感じる。

その点キッチンカーは、ニーズのある場所に出店でき、また初期費用も抑えやすいため、コロナという時代の変化に合わせて、増えていった飲食業の形と言える。

販売されている物も、ただおいしいというだけではなく、見た目、いわゆる「映える」商品が多い。

これも今の時代、特に若者への戦略としての努力だ。

今回のイベントに出店してくださっていたISLE6(アイルシックス)さんも、関西初の米粉チュロスを看板メニューとして提供されていた。

正直に言うと、私は食べ物に関しては、映えとか全く気にしないタイプである。

見た目がいいに越したことはないが、どれだけ形を取り繕っても、中身が微妙なのが、一番ガッカリするからだ。

おいしいが正義。

デブにとっては、これ以上の正義はない。

米粉チュロス。

さて、どれだけのものなのか。

そこに正義はあるのか。

半信半疑で注文してみることにした。

注文をして5分もたたないうちに、商品を受け取った。

このスピード感もキッチンカーの利点だ。

私は一番人気のストロベリーペブルスを注文した。

伊勢谷さんは、抹茶チョコレート。

なんか思ったけど、おっさん二人がこれ頼んでるのキモイな。

冷静に写真見ると、恥ずかしさで怖くなる。

なんか二つ合わせるとハートの形になるって書いてあったから、やったけど、ホンマにやめとけば良かった。

これは女性や子ども、イケメン達がやるからええねん。

久しぶりにカメラ向けられて、テンションおかしくなってたんやろな。

これデジタルタトゥーで残るのマジで黒歴史やん。

すいません。ついつい羞恥心から取り乱しました。

さて、本題に戻ります。

早速一口。

「サクッ」

誇張なくこの音がした。

あまりチュロスを食べたことがあるわけではないが、イメージでは、サクッというよりも、もう少しモサっとしている印象だったので、食感にまずビックリした。

米粉を使用しているので、小麦粉よりも油の吸収を抑えてくれるからだろう。

生地が油を吸いすぎていないので、重くなりすぎない、ほど良い軽さがある。

少しカリカリに焼いたおかきに似ているかもしれない。

しかも、生地は、冷凍保存するのではなく、当日作られるので、生地本来の水分や旨み、食感が失われていない。

一口食べただけで、お店側の生地へのこだわりが伝わってくる。

伊勢谷さんもこの表情である。

次に味はどうか。

見た目からすると、かなり甘い印象を受けるが、口の中に広がるのは、砂糖の甘さだけではなかった。

ここにも米粉の特性が生かされていて、お米特有の甘さが口の中に広がる。これは小麦粉では出せない甘さだ。

米の甘さがある分、砂糖の分量も抑えられているのか、くどくなりすぎない。

飽きがこない味だ。

一瞬にして完食してしまった。

米粉チュロス。

舐めてました。

最高のスイーツでした。

正義があるのか?とか調子に乗ったこと言ってホンマにすいませんでした。

正義の塊でした。

満足感と余韻に浸っていると、伊勢谷さんが突然

「これデブ部の記事にしてみよや!」

と提案し出した。

「アホか!」と言いそうになったが、伊勢谷さんは、真っ直ぐ屈託のない眼(まなこ)で、私を見つめていた。

「わ、わかりました。やります。。。」

断ることができなかった。

書くことになった。とほほ。

もう二度と伊勢谷と飯は食わないでおこう。

はてさて、イベントも無事終了。

今回お邪魔したISLE6(アイルシックス)さんをはじめ、いろいろな店舗のおいしいご飯も食べられて、大満足でした。

また皆さんも機会があれば、ぜひご参加ください。

これからラグビーの季節。天理ラグビー勢の健闘を祈る!

P.S.これが本当にデブ部の最後になる。かな?

(デブ部サウナ部長)

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