YOUは何しにおぢばへ#1「おぢばは、たすかるところ」

人類のふるさと「ぢば」。そこは、世界中から教祖の教えを慕い、多くのひとが帰ってくる場所。本企画では、そんな遠く海外からおぢばへ学びに来た留学生や修養科生、また、国内外で活躍する外国人教友にインタビューしていく。

第一回目のYOUは、現在、青年会本部の係員として勤務しているアラン・ファリド・サンタエジャリベラさん(32歳・統北分教会ようぼく)。信仰初代の彼が天理教を知るきっかけは何だったのか。おぢばで何を学んだのか。彼の信仰のルーツに迫る。

新しいことに挑戦したい

青年会本部の事務所に入ると、鼻筋の通ったラテン系の顔の青年が座っている。メキシコ出身のアランさんだ。取材は青年会本部の一室で行われた。

「『「YOUは何にしに日本へ?』というテレビ番組は知っていますか?」記者が尋ねると

「あー!たぶん見たことがある」

外国人特有のイントネーションでYOUは答えてくれた。

「es un programa de television japones……(日本のテレビ番組で……)」隣に座る海外部の通訳の方がスペイン語で補足説明をする。当日は、日本語とスペイン語を交えながらの取材となった。

友人に誘われ、おぢばへ

今から5年程前、アランさんはメキシコで銀行員をしながら、ドイツ語の語学学校に通っていた。そこで知り合った、メキシコ人ようぼくの「ディブスさん」との会話が、天理教を知るきっかになったという。

「ディブスさんはよく私に天理教の教えについて話してくれました。私は彼の話を聞くたびに少しずつ日本の文化や日本語、そして天理教の教えに興味が湧いていきました。」

それから程なくして、29歳のときにディブスさんに誘われて初めておぢばがえりをした。初めての海外旅行だったという。アランさんは当時のことを懐かしむようにこう振り返る。

「とても大きくて立派な神殿に圧倒されました。あと、外国人で未信仰の私でも足を踏み入れて良いことが驚きでした。神社やお寺って立ち入り禁止のところが多いので。参拝の作法も礼儀も何もわからなかったので、見様見真似で参拝しました。」

アランさんが所属する統北分教会の山本一元会長に初めて出会ったのもその時だ。山本さんは神殿で天理教の説明をした後、天理教語学院への入学をアランさんに勧めたという。

「はじめは迷いましたね。初めて聞く宗教でしたし、言葉や文化の違うところで生活するのは正直不安でした。その頃私はドイツ語を勉強していましたし(笑)。でも、「何か新しいことに挑戦したい」とちょうど考えていたときでもあったんです。家族に相談したところ、私の意思を尊重し、背中を押してくれました。あと、山本さんの話を聞いて、ここに来れば必ずいい経験ができると直感で感じました。

2020年春、日本語や天理教のこともほとんど知らないまま、アランさんは30歳単身で日本に渡り天理教語学院に入学することになった。

おぢばでの生活

コミュニケーションで苦労した語学院時代

「新しい人との出会いがほんとに素晴らしいことだと感じました。友人と自転車で学校へ通ったり、学校帰りに神殿に参拝に行ったり。日本語の授業以外にも、田植えや稲刈りを体験したり、巻き寿司の作り方を教えてもらう機会もありました。私にとっては初めての経験ばかりで、すべてが新鮮でした。」

笑顔を交えながら語学院での思い出を語るアランさんは、「大変なこともありました」と話を続けた。

「語学院に入学した当初、他の学生は私よりも日本語が上手でした。だから、私だけコミュニケーションがうまくいかず、ちょっとした勘違いから人間関係が悪くなることがあったんです。悔しくて、ムスッとした態度をとってしまい、せっかくの友人からの誘いを断ってしまうこともありました。友人からは「アランはいつも怒っている」と思われ、正直、学校や寮生活が嫌になることもありました。」

しばらくの間、スペイン語で語ってくれたアランさん。しかし、悲観する様子はまるでない。聞くと、その当時の彼を支えていたのが、「いんねんとたんのう」の教えだという。

明るく、陽気に

もともと人とのコミュニケーションが苦手だというアランさん。他人に対して一方的に怒ってしまい、自分の否を素直に受け入れることができなかった過去を恥じらいながら回想した。

振り返ると、寮生活での人間関係の問題は神様が私の成長のために与えてくださったチャンスだと思うんです。たんのうの教えを学んでからは、どんなことが起こっても、『まずは喜ぼう』と思えるようになりました。

天理教の教えを学びはじめてたった2年とは思えない彼の発言に、私は思わず「すごい、、、」と声を漏らした。神殿で参拝するときはどんなことを思っているかと率直に気になることを問うと、彼は「ひとつは感謝の気持ち。もうひとつは自分の悪い癖が改善できるようにお願いしています」とのこと。続けて「ネガティブなことに注目せずに、陽気で明るい性格になることが私の次の挑戦です」と語ってくれた。「新しいことに挑戦したい」と2年前におぢばに飛び込んだ彼は、すでに新たなステージへと進んでいる。

おぢばは「たすかる」ところ

「いつか、色んな国にいって、私と同じように人間関係で困っているひとを助けたいと思っているんです。そして、おぢばの素晴らしさを伝えたいと思っています。」

と今後のビションを話す彼には、「おぢばはたすかるところ」という確かな自信があるのだろう。そのための一歩として、まずは母国メキシコで働きながら身近な人に天理教の教えや日本の魅力を紹介していくのだという。取材の間、彼は「明るく陽気になりたい」という言葉をよく口にした。その内心には、教えを言葉だけではなく、お道の“にをい”を伝えていきたい思いがあるのかもしれない。それは、元来コミュニケーションが苦手で、言葉の壁で苦労した彼だからこそ感じることのできる「徳分」なのだと感じた。

おわりに

取材とは別日に、統北分教会・山本会長にアランさんについて聞いてみた。するとこう答えてくれた。

「アランは人の話をとても熱心に聴いてくれるんです。私のおたすけ先の人が修養科に入った際も、「いつもアランが話を聴いてくれて本当に嬉しかった」と言っていました。アラン本人はそんなつもりはないと思いますけど、彼はすでに多くの人を救っているんです。」

アランさんの「世界たすけへの挑戦」はすでに始まっている。