第9回 インスタで陽気ぐらしを発信中

国内外で人気のSNS「インスタグラム」で、いま注目を集める信仰家族がいる。四男二女の母である三浦彩香さん(35歳)は、家族や親戚と撮影した写真やリール(ショート動画)を自身のアカウント「ayakaの大家族日記」にほぼ毎日投稿。これまでの総再生回数は9300万回を超え、アカウントフォロワー数は4万人に上る(3月26日現在)。今回の〝薫り人〟は、人気インスタグラマーとして大家族の魅力を発信する三浦夫妻に話を聞いた。

堺市・石津駅から車で約5分。閑静な住宅街の一角に泉辰(いずたつ)分教会がある。

教会前に到着すると、末っ子の海くんを抱っこした士郎さん(38歳・同分教会長)が外で出迎えてくれた。玄関を入ると、彩香さんをはじめ5人の子どもたちから「こんにちは!」と元気なあいさつと拍手で歓待を受ける。三浦一家の明るい演出と笑顔に、緊張気味だった記者とカメラマンの心は一気に和んだ。

三浦家は、一番上の子が15歳、下の子は1歳、四男二女の大家族だ。今年1月、彩香さんが投稿した「11歳差兄弟 久々の夜泣き」というタイトルのリールが「Yahoo!ニュース」に取り上げられた。「11歳差、弟の夜泣きに駆け付ける中1兄の姿に150万回再生『あやし方がプロ』『お兄ちゃんがすごい』」という見出しの記事では、称賛のコメントとともに〝年の差6兄弟姉妹〟の日常の様子が紹介された。

さらに10日後、「大家族あるある」として車から子どもたちが次々と降りてくる様子を収めたリールが同ニュースで紹介されるなど、三浦家はネットメディアからも注目を集める〝インフルエンサー家族〟なのだ。

「子どもの通う保育園の先生やママ友が私たち家族のことを知ってくれていて、インスタがきっかけで会話が弾み、コミュニケーションのきっかけになっています。最近、近所のスーパーでも『インスタ見てます』と知らない方から声をかけられるようになって」と彩香さんは恥ずかしそうに笑う。

教祖にお喜びいただく心を定め

三浦家がインスタを始めたのは昨年8月末。きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しているという。

「教会長になって4年。これまでも夫婦でにをいがけ・おたすけに懸命に取り組んでいましたが、コロナ禍で周囲の人に声をかけるのが以前より難しくなりました。夫婦でいろいろと話し合う中で、いま自分たちにできることとして、インスタを通じて〝陽気ぐらしの発信〟をしていこうと考えました」と士郎さんは話す。

早速、士郎さんの実兄に当たる茶谷良佐さん(50歳・泉大教会長)に伺いを立てると、「陽気ぐらしという根本がずれなければ、どんどん発信していったらいい」と快諾を得た。

「大教会長様の後押しを頂き、『絶対にうまくいく!』と確信しました。教祖140年祭の三年千日活動も近づいていたので、教祖にお喜びいただこうという心を定めてインスタを始めました」と彩香さんは振り返る。

アカウント開設後は、子どもたちとの日常を切り取った写真や、流行りのBGMに合わせてダンスを踊るリールなどをほぼ毎日投稿。大家族ならではのエピソードや趣向を凝らした内容が人気を集め、わずか2カ月でフォロワー数は1万人を突破した。

〝家族の絆〟をはぐくむ日課

開設から1カ月が経ったころ。「思春期の息子2人に後ろから急に飛びついてみたw」というタイトルのリールがバズった。再生回数はなんと900万回を上回り、9万5000件を超える「いいね!」がついたのだ。コメント欄には「嫌がって逃げたりしないのが普段の親子関係を物語っていますね」「姉弟かと思いました」といった称賛のコメントが相次いだ。

動画の企画は主に士郎さんが、撮影・編集は彩香さんが担当する。「妻が編集して、コメントを返して、一人でやってくれています」と士郎さんが言うと、彩香さんは「ネタを研究して、提案してくれるのは士郎さんです」とすかさず返す。

「子どもたちは学校や習い事を終えて帰宅した後でも、文句を言わず撮影に協力してくれます。上の子たちは思春期ですが、ノリノリでやってくれるので感謝しています」と二人は口をそろえる。

なぜ、三浦親子は仲が良いのか。その秘訣を尋ねると、三浦家では夕づとめ後、家族全員で喜び探しをするのが日課だと教えてくれた。一日を振り返りながら、その日のうれしかったことや良かったことを家族の前で一人ずつ発表するのだ。

「たとえ『今日はしんどかったな』という日であっても、何か喜びを見つけて家族に発表することで、その日を喜びの心で終えることができます。そうした積み重ねが家族の絆や〝喜ぶ心〟を強くしているのだと思います」と彩香さんは話す。

親戚を巻き込み影響力を拡大

インスタでの〝陽気ぐらしの発信〟は、三浦家だけでなく親戚を巻き込みながら大きな影響を及ぼしている。彩香さんの投稿には時折、士郎さんの実兄やその子どもたちが登場する。今年の正月、士郎さんの実家に親戚42人が集まったときに制作したリールは、再生回数が150万回を超えた。

なかでも人気が高いのが、義姉に当たる長男、次男、三男のそれぞれの妻と彩香さんが一緒にダンスを踊る「嫁シリーズ」だ。「義姉には、本当の姉妹のように可愛がってもらっています。ノリの良い面白いお姉さんという感じで大好きなんです。一緒に撮影したリールはかなりバズっています」と彩香さんは笑顔を見せる。

さらに1月初旬には、士郎さんの実父である茶谷吉則さん(81歳)が出演。6人の孫と並んで散歩する様子が動画で投稿されると、その再生回数は約130万回に上り、「いいね!」数は5千件を超える反響があった。

実は、彩香さんはこの投稿に特別な思い入れがあるという。「私は19歳のときに結婚しました。不安な気持ちや家族と離れる寂しさがありましたが、両家の顔合わせの日、義理の両親が『彩香ちゃん、よく帰ってきてくれたね』と優しく言葉をかけてくださいました。私自身、この言葉が本当にうれしかったし、このエピソードを広く伝えたいと思いました」

「この投稿を見た父はとても喜んでいました。その姿を見て、自分たちのやってきたことに自信が持てたし、親孝行にもなっていると感じました」と、士郎さんはしみじみ話す。

SNSでのおたすけに可能性を感じ

インスタへの投稿を続ける中で、思いがけないことが起こっているという。DM(ダイレクトメッセージ)を通してさまざまな悩み相談が寄せられるようになったのだ。その内容は、夫婦仲、思春期の子どもへの接し方、義母との関係などに関するものが多い。

彩香さんはこうした相談一つひとつに真摯に向き合う中で、義母の茶谷あい子さん(72歳)ならどう答えるだろうと思いを巡らせる。

「私は若くして結婚し、6人の子育てをしたり、教会を持たせていただいたりといった経験をしてきました。その中で、子どもの身上や私自身の心の病気といった節もお見せいただきましたが、どんなときも『義母さんが正しく導いてくださる』という安心感だけは変わりませんでした。DMで相談が来たら、義母さんから学んだことを嚙みくだきながら伝えるようにしています」

二人は言う。「見ず知らずの人からも相談を受けるようになってきており、インスタをはじめSNSによるおたすけの可能性を感じています。そして何より、私たちのインスタを見て『元気になる』とか『毎日の楽しみになっている』という声が大きな励みになっています。そうした声が私たち家族のモチベーションになっていますし、これからも私たちの姿を通して教祖の教えを広く伝えていきたいと思います」

三浦家の〝陽気ぐらしの発信〟は、今日も続く。

文=中西一治、写真=廣田真人

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